論評系

映画「君たちはどう生きるか」備忘録

このタイトルと正面から向き合ったのは、実に10年ぶりである。当時はまだ漫画版も出ておらず、世間からの注目度は今よりも随分と薄かったのであろう。だが私はその頃にこの本を読むこととなる。課題図書として学校から出されたのが何を隠そうこれの感想文であったからだ。

残念ながら当時読んだ記憶は全くと言っていいほど今は残っていない。そんな「君たちはどう生きるか」と久しぶりの対面を果たすことになったきっかけは宮崎駿の同名映画なのである。

私は主流に乗るのが苦手な人間で、なかなか世間受けのいい映画、特にファミリー層向けの映画という印象を持つことの多い宮崎駿作品を見るという機会を積極的には作ってこなかったし、本作についても当初はあまり見るつもりがなかった。ただこれらが話題となった7月13日、タイトルが10年前に読んだ書籍のタイトルというただその一点だけが、私をこの作品の鑑賞を決意するきっかけとなったことは言うまでもないだろう。結果この作品を鑑賞後、久しぶりに原著を読みたい衝動に駆られ、三省堂に駆け込むこととなってしまった。

この記事はネタバレも織り込みつつ、この映画を鑑賞してどのような感想を抱いたかを綴った備忘録として、かなり硬い文体でまとめていきたいと思う。考えがまとまっていないし、原著をまだ読み直していないため不正確な部分があるとは思うが、これが「思考の欠片」であることに留意してこの先を読み進めてほしい。また、今回この映画のプロモーションがほとんど行われていないことからもわかるとおり、前提のない中で「君たちはどう考えるのか」を重点に置いた映画だと思うので、もし見る予定があるひとはなるべく早く、こんな感想を読まずにまずは映画館へ向かってみることをお勧めしたい。

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札幌と名古屋の意外な共通点~都市構造から紐解く~

皆さんは札幌と名古屋、似ていると思いますか?

人によっては「何言っているんだお前。都市規模が違いすぎるだろ」とでも言い始めるかもしれません。確かにその通りです。しかし「都市構造」に目を向けてみるとそうは言えないのではないでしょうか。本稿では都市構造という点において名古屋と札幌の共通点、そして差異はどこから生まれたのかということを少し論じます。

こんなこと思ったきっかけは結構馬鹿みたいなことからで「札幌の大通と久屋大通そっくりじゃね?」と思ったところから来ています。そこから他のことも関連付けて紐解いていくと、両者の都市構造が思いのほか似ていた…という具合です。

まあそんなこと言っても行ったことない人もいるでしょうから、黙ってまずは下2枚の写真を見てください

大通(札幌)
久屋大通(名古屋)

ね?そっくりでしょ

つまりそういうことなんです。(おしまい)

…という訳にもいかないのでもうちょっと詳しく見ていきましょう。まずは両者の景観の形成過程からまとめてみました。こじつけ論ありますが、そこのとこはよろしくお願いします。

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「札幌」という街を考える

こんにちは。あべっちです。

ご存知の方もいるとは思いますが私は2019年度から札幌へ移り住みました。それから1年半以上が経過し、2度目の冬を迎えました。そんな私が関東からこちらへ引っ越してきてから感じたこと、そして札幌について考えてみたいと思います。

円山から見た札幌(西側から東方向)。中央に見える凸型の建物はJRタワー
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